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TWのプレイ記と二次創作が転がってます。
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ざくざく行きましょう。
修羅場、らばらば。



大したことはやってませんが、片方がぼろぼろです。
暴力的注意報を出しときますー。


読んでくださる方は↓へお進みください。




沈めた旋律 9



甘えていると言われた。

そうかもしれない。
僕とボリスが一緒にいられたのは、
僕がボリスのことをとっても好きなのもあるけれど
ボリスがいい奴だから、ここまで来たんだ。

ボリスが僕のことを忘れているなら
僕がふたり分言わなきゃいけないよね。

そうだろ、ボリス。

 

 

あの二人に言葉をもらった。
きっかけも作ってもらった。
ルシアンはそれをありがたく使わせてもらうことにして
駆け足でボリスの部屋へと向かう。
扉のノブに手を引っ掛けて、部屋を通り過ぎそうな勢いを
そのまま入室する力に転じる。
つんのめりながら駆け込んで、慌てて勢いを殺して立ち止まった。

「ボリス!」

窓の傍に立つボリスの名を呼ぶと、緩慢な動きではあるが
ボリスが顔を向けてくれたことにルシアンはいつもどおり笑う。

「あのね。シベリンがお見舞いのリンゴ、ボリスひとりじゃ多いだろうから
 僕とボリスで半分コしろって。」

テーブルの上に無造作に置かれた紙袋から、
ルシアンは赤い果実をひとつ取り上げてボリスの元へと持っていく。

「普通のご飯はいらないかもしれないけど、やっぱり何か食べた方がいいし
 これならボリスも食べられるだろ?」
 
ちゃんと剥いてあげるから、と続けてルシアンは顔の横へ
ひょいと持ち上げた。
ボリスは一瞥しただけでルシアンから受け取ろうとはせずに、
軽く片手を添えてリンゴをルシアンの方へと押し戻す。

「ボリスー?」

友人の言う事と仲間の善意は受け取れとルシアンは少し口をとがらせた。
不満げなルシアンにボリスは嘆息交じりに言葉を紡ぐ。

「俺に関わらなくていいと言わなかったか。」
「うん、言ったね。」

確認されなくとも、ついさっき聞いたばかりだ。
この短時間で忘れるわけが無い。
それが何?と言わんばかりに首をかしげる。

ルシアンがそれ以上何も言わずにいると、
業を煮やしたのかふたたびボリスが口を開いた。

「それなら――」
「『俺に構うな』って?」

簡単に予測できるボリスの言葉の続きをルシアンが先に口にした。

「そんなの聞かないよ。
 だってボリスのことなんだよ?心配しない方がおかしいよ。
 するなって言われて心配ってやめられるものじゃないだろ。」

そこまで言い切ってルシアンは息をついた。
言い分が勝手なのはお互い様だ。
忘れましたからハイさようなら、なんてそんな勝手な事はない。
どうしようもない別れというものは、もしかしたら
世の中にはあるのかもしれない。
でも今回の事を、ルシアンはその中に分類するつもりは無かった。

それに心配な事はボリス自身のことだけではない。
 
「それにさ、ボリスは気にならないの?」
「……何がだ。」
「どうして記憶が無くなったのか。」

おそらくボリス以外の仲間は少なからず考えているだろう。
ボリスの忘却の理由について。
理由に心当たりが無いのか問うように、ルシアンはボリスを覗き込んだ。
ルシアンの問いを聞いて、ボリスの目がはじめて揺れる。

「……何故……?」
「うん、そう。
 大怪我して倒れてたっていうのがそもそも普通じゃないだろ。
 誰だって襲われた理由がわからなかったら対処のしようがないし、
 ひとりでいるの怖いと思うんだけど。」
「…………。」
「なんでそんなに無関心でいられるのさ。
 無関心って言うか、僕らが言ったこともボリスの中に残ってないような気がするし。」
「言われた事は、覚えている。」

自分がこの青年の護衛である事。
先ほど訪ねてきた人物が、身内の仇にあたるかもしれないこと。
しっかりと記憶に残っている。
シベリンがそこまでボリスに打ち明けていた事を聞きルシアンは少し驚くが、
やはり『あること』がひっかかって、ボリスに確認する事にする。

「……名前。」
「?」
「ボリス、気づいてないのかもしれないけど。
 結構時間が経ってるのに、話をしてても誰の名前も呼んでないんだよ。
 それとも、覚えてるのに呼ばないだけ?」

会話の中に、誰一人として仲間の名前が出てこない。

最初は親しくないから呼びにくいのかとルシアンは思っていた。
だが、話す対象の人物に関して会話相手も知っているのなら
その人物の名前を出せばよい事。
ひとつも話の中に出さないようにするには、よほど気をつけていない限り
無理だとルシアンは思う。

「ねぇ、ボリス。
 僕の名前、言える?」
「……。」
「忘れちゃった?」

記憶を探っているのか頭に片手を添えて黙り込むボリスに、
しょうがないなぁと苦笑いをした。
でもたった四文字だ。
言うのは少しも手間じゃない。
それでボリスが呼んでくれるなら、ちっとも苦にならない。

「ルシアン。ほら、言ってみてよ。」

うつむき加減のボリスの肩に手を置く。
そう促しても、ボリスが口を開く気配が無い。
ひょっとして思い出すのが嫌なのだろうか。

不安に駆られてルシアンがボリスの表情をうかがおうとしたところで、
ようやく声が聞こえた。。

「――ルシアン、ルシアン・カルツ……。」
「うん!そのとおり――」

ほっと安堵すると同時に、ルシアンは笑顔になった。

名を呼んでもらえたことにだけ喜んで――だから反応が遅れた。


「排除、すべき……者。」
「―――?!」

 
訊きかえそうとした言葉は音にならなかった。
声と同時に酸素も奪われて苦しさに顔をゆがめる。
奪っているのは、ボリスの両手。
ほぼルシアンの全体重がかかっているにもかかわらず、
ルシアンが両手で掴んで引き剥がそうとしてもびくともしない。

「――っ、は……。」

離せ、という短い言葉も全て消し去るように首に力がかかる。
状況が果てしなく不味い事はわかっていても、
声が出せない上に、力は圧倒的にボリスの方が勝っている。
両手は空いている。
剣は腰に差したままだ。
でも、これをボリスに抜くわけにはいかない。


「……だ……」
「―――……?」


よどみ始めた意識に、ボリスの声がひっかかってルシアンは目をあけた。
かすむ視界につらそうなボリスの顔が映る。

苦しいのはこっちなんだけど、とこんな時に的外れな事を思い浮かべた。
聞こえたのは空耳だったのだろうか。
酸素の供給を絶たれた体からは急速に力が抜けていく。
あ、まずい、なんてどこまでも他人事のようだ。
焦りはあるもののボリス相手に、やっても良い『何か』が思いつかない。


ダメだなぁと苦笑いさえしそうなルシアンに、耳に馴染んだボリスの声が届いた。

「にげ、ろ……ルシアン……。」

両手の力は相変わらず緩められてはいない。


しかし、その言葉でルシアンは力をもらった気分になる。
ふっと一瞬笑って、歯を食いしばった。


(両腕が動かせないなら――!)


首にこれ以上のダメージを与えないようにボリスの両腕に
自分の手をひっかけて上半身だけを固定し、
ルシアンは片足を振り上げた。 
鳩尾を狙ったそれはボリスの体を引き剥がして、
反動でルシアンも後方に投げ出される。


「――だっ………!」


受け身を取れる余裕など無く、鈍い音を耳にしたのを最後に
ルシアンの意識はふっつりと途絶えた。


 






――――――――――――

真面目に書くと、途端に破壊したくなるのです。


リンゴはどこ行った。
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ルシは気ままに放浪の旅。
ボリスはCP10まで完了。

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